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相続実務コラム

土地の値上がりが相続を難しくする

都市部を中心に土地の価格(路線価)の上昇が続いています。「所有している資産の価値が上がる」ことは一見喜ばしいことに思えますが、実は相続の場面においては大きなリスクと難しさをもたらします。
今回は、地価上昇がなぜ相続を複雑化させるのか、そして今から準備すべき具体的な解決策について分かりやすく解説します。

この記事のポイント
  • 評価額の上昇:土地の値上がりにより、想定以上の相続税が課されるリスクがある
  • 代償金の高騰:不動産を分け合う際、代わりに支払う「現金の負担」が増大する
  • 対策の肝:節税だけでなく、計画的に「現金を増やす対策」が不可欠

1. 土地の値上がりが引き起こす「2つの相続リスク」

土地の評価額(路線価)が上がると、相続が発生した際に主に2つの大きな壁にぶつかることになります。

リスク①:想定外の「相続税負担」の増加

相続税には「基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)」がありますが、地価の上昇によって土地の評価額が跳ね上がると、これまでは非課税枠に収まっていたご家庭でも納税対象へ繰り込んでしまうケースが急増しています。

リスク②:遺産分割における「代償金」の高騰

不動産は現金のように均等に分けることが困難です。そのため、特定の相続人(例:長男)が自宅土地をそのまま引き継ぐ場合、他の相続人に対して現金を支払う「代償分割(代償金)」を行うのが一般的です。

しかし、土地の価値が上がれば上がるほど求められる代償金の額も高くなり、手元資金が足りずに遺産分割協議が難航する要因となります。

ワンポイントアドバイス

「うちは不動産くらいしか財産がないから関係ない」と思っている方ほど注意が必要です。「不動産はあるが現金が少ない」という状態が、最も相続トラブルに発展しやすい典型パターンです。

2. なぜ「節税」だけでは不十分なのか?

従来の相続対策といえば、小規模宅地等の特例や生前贈与などを活用した「評価額を小さくする(節税)」手法が主流でした。

しかし、急激な地価上昇の局面では、節税だけでは限界があります。仮に節税に成功したとしても、「実際に税金を払うための手元現金」「家族間で円満に分けるための代償金」が不足していれば、相続争いや不動産の売却を余儀なくされるからです。

これからの時代に必要なのは、節税(守り)だけでなく、「納税資金と分割資金として活用できる現金を確保・準備する(攻め)」という視点です。

3. 今すぐ始めるべき「現金を増やす相続対策」

土地の値上がりに備え、家族間の円満な相続を実現するためには、早期から以下のアクションを組み合わせて進めることが重要です。

  • 生命保険の有効活用:非課税枠(500万円 × 法定相続人)を活用し、受取人指定で即座に動かせる納税・代償資金を作る。
  • 不要・未利用不動産の整理(売却・組み換え):活用していない土地を早めに売却し、現金化や収益性の高い資産へ組み替える。
  • 資産運用・積立の導入:新NISAや個人年金などを活用し、中長期的に納税用の手元資金を拡大させる。
まとめ:早めの相談が家族を守る

地価上昇は資産価値が高まる一方で、残されるご家族に「納税」と「遺産分割」の大きな課題を残します。
ご自身の不動産評価額を正しく把握し、将来必要となる現金リスクに早く気づくことが、円満相続への第一歩です。

【コラム著者のご紹介】

岡山生まれ。26歳で生損保の保険代理店「デザインライフ」を設立し、その後相続に関することで悩み苦しむ人を救うべく2015年から相続コンサルタント事業開始。 現在は、年間約500件の相続相談に対応し、遺言・信託などの法律文書の組成、税申告・登記などの相続手続きをはじめ、保険・不動産・建築など、資産に関わる問題の解決、見直し、活用、運用など、幅広くアドバイスと対策支援を行い、部分的解決ではなく総合的解決へと導く、相続・事業承継に特化したコンサルタントとして活動。年間10億円以上の資産を動かす相続・事業承継対策に携わる。 年間100回程度のセミナー講演を行っており、一般向け相続セミナーのほか、相続コンサルタント養成講座を開講。全国の相続に関わる専門家の教育に携わっている。 この他、日本赤十字社、大和リビング、メットライフ生命、オリックス生命、損保ジャパンひまわり生命等、講演実績多数。実績が評価され2024年には新築戸建賃貸投資に関する全国フランチャイズの研修講師として事業参画。2025年には自身が行う相続コンサル事業をフランチャイズ化。 FC本部として自社だけでなく全国の加盟店に所属する相続コンサルタントを育成し、並走して実務支援することで全国の相続相談に対応している。 趣味は、家族旅行とフットサル。2007年に自身が発足した岡山県リーグ所属フットサルチームのスポンサーとして支援している。 (成績:県リーグ優勝数回、岡山県選手権予選優勝1回)

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